長周期地震動(=長く大きな揺れ)対策について
今回は既存の超高層建築物等における、長周期地震動の対策についてです。
*超高層建築物・・・高さ60mを超える建築物
南海トラフ沿い(図表3)で、今後30年以内に起こるとされているM8-9クラスの巨大地震。
「長周期地震動」は、そのような震源が浅い巨大地震で発生し、「ゆっくりとした揺れが長く継続する」という特徴があります。(図表2)
H23年に起こった東北地方太平洋沖地震では、震源から約700km離れた大阪市内の超高層ビルで大きな揺れが起き、居住者に大きな恐怖感を与えると共に、家具や内装、エレベータなどの設備に大きな被害をもたらしました。(図表1)
*南海トラフ沿いではM8~9クラスの地震が約100~150年間隔で発生。
*今後30年以内に70%程度の確率で発生。
巨大地震によって長周期地震動が発生すると、地震動の揺れによる建物の速度は、三大都市圏の広い範囲で150cm/秒以下、一部地域で局所的に250cm/秒程度、と推計されます。これまでの実験結果(図表4)によれば、建物が倒壊するまでには一定の余裕があるのではないかと推察されますが、超高層建築物を含む多くの建物で間仕切り壁や天井材、スプリンクラーなどの非構造部材や設備機器に様々な被害が発生する可能性があります。
上層階ほど揺れが大きく、多くの固定していない家具類が転倒し、キャスター付きの家具類等が大きく移動することで、人的な被害が発生することが懸念されます。(図表5 平成27年12月 内閣府報告書)
*家具の転倒・移動等の対策については、「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(←クリックすると東京消防庁のホームページに移動します)が参考になります。(例:図表6)
また、災害時に防災拠点となることが期待される施設等においては、地震時の揺れを低減させる装置(ダンパー等)を設置するなど、自主的な取り組みが進められています。
下の図の対象エリア内(特に図中赤・青色の地域)の超高層建築物等については、今回の対策で求める長周期地震動の大きさが、建物の建設時に想定していた地震動の大きさを上回っている可能性があります。
詳細検証や回収等を行うにあたっては、販売者、施工者、または設計者にご相談を。
本対策の対象となる区分所有マンションについては、合意形成を円滑に進めるため、国土交通省において支援制度を準備しています。
詳しくは、地方公共団体(市区町村及び都道府県)の建築部局等にお尋ねください。