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地震の知識
今後30年以内に東北沖でマグニチュード7級の地震発生確率90%と政府予測
今後30年以内に東北沖でマグニチュード7級の地震が発生する確率90%と政府予測公表
政府の地震調査研究推進本部は2月26日に、青森県東方沖から房総沖にかけての日本海沿いで、
今後30年以内に地震が発生する確率を公表しました。
宮城県沖などでマグニチュード7級の地震が発生する確率は90%で、東日本大震災より小規模でも被害が出る恐れのある
地震には、引き続き注意が必要としています。
この海域の評価は2011年以来で、今回はその後の地震活動や地殻変動、過去の津波堆積物の情報を活用し、
超巨大地震などを評価しました。
東日本大震災のように、岩手県沖南部から茨城県沖まで連動するような超巨大地震(マグニチュード9級)は、
直近の発生から8年しか経過していないため、確率はほぼ0%とし、大きな揺れを伴わずに津波が発生する明治三陸地震(1896年)
のような「津波地震」の規模は最大でマグニチュード9、確率は30%としました。
一方、マグニチュード7級の地震は上記表のように
・青森県東方沖及び岩手県沖北部・・・90%以上
・宮城県沖・・・90%
・茨城県沖・・・80%
など広い範囲で高値になっています。
宮城県沖のうち陸の近くの領域は前回は「不明」とされましたが、地殻変動の観測結果などから、
次の地震発生サイクルに入ったと判断され、地震が起こる確率は50%とされました。
マグニチュード7級の地震は、過去に観測された津波は高さ数十㎝程度が多いのです。
マグニチュード9級(10m超え)や、マグニチュード8級(数m)に比べて小さいですが、
波打ち際ではさらわれる危険があります。
1978年の宮城県沖地震(マグニチュード7.4)では、ブロック塀の倒壊などで28人が死亡し、
安全基準が見直されるきっかけとなりました。
地震本部地震調査委員会の平田委員長は、「東北の沿岸で、マグニチュード8、7クラスの確率は高い。
津波や強い揺れに備えることが必要」と話しています。
今後各地で大きな地震がいつ起こってもおかしくない状況ですので、
家具の設置の点検や、災害時の連絡方法の確認など日頃から備えが必要です。
北海道で震度7の地震が発生しました
9月6日未明、北海道で震度7の地震がありました。国内で震度7が観測されたのは、
2016年に起きた熊本地震以来6回目です。
今回の地震により9人の方がお亡くなりになりました。
犠牲になられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様にお悔み申し上げます。
そして安否不明者31人、けが人は約300人で、計約1900人が避難されています。
北海道電力によると、地震の影響ですべての火力発電所が停止し、北海道全域で約295万戸が停電して
しまいました。これは、1995年の阪神淡路大震災の約260万戸の停電を超える規模になります。
そして2239戸が断水となり、液状化により道路が断裂し、浸水・陥没などの被害も出ています。
現在は停電・断水共に少しずつ復旧されていますが、依然復旧していない地区もあり、
北海道の多くの方々の生活に影響が出ています。
まだ余震も続いており、不安の中で断水・停電と不自由な生活を余儀なくされている方々に、
1日も早く平穏な日々が取り戻されることを願っております。
大地震による木造家屋の倒壊や、大型家具の転倒などによって命を落としてしまう危険性があります。
危険から身を守る為には、普段からご自身の身の回りの家具の配置を見直すなど、
平時からの取り組みがとても重要です。
例えば、ベッドや布団の周辺に大きな家具や家電が置かれていないか、
避難動線となる廊下やドアの側に倒れて動線を塞いでしまうようなものを置いたままに
していないかなど、自分や家族を守るために身の回りを点検し、今できることをしていきましょう。
また、1981年5月以前に建てられた「旧耐震基準」の建物は、すぐに耐震診断を受けましょう。
当社でも日々、防災の観点から耐震工事に尽力しております。
耐震工事、家具転倒防止工事で防げる命もございます。
気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
今後30年以内の大地震 太平洋側が高確率に
政府の地震調査研究推進本部より、今後30年以内に強い揺れに見舞われる確率を示す「全国地震動予測地図2018年度版」が公表されました。
震度6弱以上の確率は、北海道南東部で前年より大幅に高まったほか、太平洋側も引き続き高い確率となっています。
地図は地震の起きやすさと地盤の揺れやすさの調査をもとに作られたものです。
現時点で考慮し得るすべての地震の位置・規模・確率に基づき、各地点がどの程度の確率でど の程度揺れるのかをまとめて計算し、その分布を示した地図群です。
千島海溝沿いで起きるマグニチュード8.8程度以上の超巨大地震を考慮に入れた結果、
釧路市で69%(前年比22ポイント増)など、北海道南東部で大幅に上昇しました。
千葉市85%、横浜市82%など、太平洋側の各地域は前年同様に高くなっています。
※詳しくは「地震調査研究推進本部」ホームページをご覧ください
https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/
2018年度木耐協全国大会 第20回記念大会に出席いたしました
1995年に発生した阪神・淡路大震災では住宅の倒壊等で多くの命が奪われました。
その惨劇を繰り返してはならないと、木耐協が発足したのが1998年7月。そして、建設省の認可を受けた1999年、初めての全国大会が行われました。
それから20年。「第20回記念大会」が開催されました。
今回は、国や各団体の皆様が御臨席され「記念式典」を行うと共に、組合設立のきっかけとなった阪神・淡路大震災から熊本地震までの地震を振り返り、さらに今後の木耐協と木耐協組合員の向かうべき道について考える大会となりました。
【開催概要】
開催日: 2018年1月18日(木)
時 間: 13:00~17:40
受付開始:12:30
会 場: TKPガーデンシティ品川 ボールルーム
【プログラム】
◆第20回記念大会 記念式典/功労者表彰式
◆「『伝わる』言葉と『伝える』言葉」
東進ハイスクール 東進衛生予備校 現代文講師 林 修 氏
◆「木造住宅耐震化の23年~阪神・淡路大震災から熊本地震まで~」
工学院大学 名誉教授 宮澤 健二 氏
◆「木耐協の20年/過去・現在・未来」
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 理事長 小野 秀男 氏
本日、 阪神・淡路大震災から23年
本日、1月17日は
1995年1月17日
阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)が発生した日
からちょうど23年です。この震災では、木造家屋の倒壊や大型家具の転倒によって、多くの方が犠牲になりました。
震災によって亡くなった人々とそのご遺族に対し、深く哀悼の意を表します。
この機会に改めて、木造家屋の耐震化と家具固定の重要性と、具体的な取り組み方についてまとめます。
阪神・淡路大震災では6,000名以上もの方々が亡くなり、神戸をはじめとする多くの街が壊滅的な被害を受けました。地震後の調査で判明したことですが、死者のおよそ75%の方々は、地震発生後15分以内に亡くなっていたというのです。
その原因は、木造家屋の倒壊と、大型家具の転倒による、「窒息死」でした。
この事実はあまり大きく報道されることはなく、当時の大規模な火災や、自衛隊や救急隊の遅れが多数の死者を出した原因と勘違いしている方が、まだまだ多くいらっしゃいます。
しかし、実際は、地震発生直後に多くの命が奪われていたのです。
・1981年5月以前に建てられた「旧耐震基準」の建物は、すぐに耐震診断を受けましょう。
・耐震補強工事は必要な箇所に必要な補強を施す工事がメインです。なぜこの工事をするのか、説明をきちんと受けて、納得したうえで工事に入りましょう。
・まずは、寝室とキッチンにある大型家具(洋服ダンスや冷蔵庫、食器棚など、背が高く重量が重い家具)を固定しましょう。または、寝室以外に大型家具を置くことも検討しましょう。就寝時、大型家具が転倒して人を直撃することで命にかかわる事態になります。寝室にはなるべく大型家具を置かないことがベストです。どうしても置く場合は、倒れても人を直撃しない位置、出入口を塞がない位置に配置しましょう。
・冷蔵庫はキッチンの中で最も危険な大型家具です。倒れるとキッチンから脱出できない位置にある場合は、必ず固定しましょう。また、冷蔵庫は大切な「食料庫」でもあります。地震の後も、家屋と冷蔵庫が無事ならば、その後3日~1週間程度は冷蔵庫の食糧などでしのげるとも言われています。固定方法は、専用の転倒防止ベルトで壁にビス止めするか、大型の粘着系固定器具で冷蔵庫の頂部と壁を止めつけましょう。
当社でも日々、防災の観点から耐震工事に尽力しております。
耐震工事、家具転倒防止工事で防げる命もございます。
気になる事がございましたら、この機会にお気軽にご相談下さい。
『耐震講演会』に出席しました
平成29年10月19日(木) 世田谷区民会館にて『耐震講演会』が行われ、
出席致しました。
***講演内容***
講演①「地震防災における建物の耐震性の重要性とその向上策」
講師:東京大学 目黒 公郎 教授
講演②「大地震に備えて ~室内の地震対策~」
講師:世田谷消防署 警防課 山口 至孝 地域防災担当課長
講演後には、一般社団法人 世田谷区建築設計事務所協会による
無料耐震相談会も開催されました。
耐震基準と耐震等級
◆有効性、熊本地震で「立証」
大地震に耐え、震災後も住み続けられる住宅の条件はどのようなものでしょうか。
昨年4月の熊本地震では、新しい「耐震基準」で建てた住宅がより強いことがはっきりしました。さらに「耐震等級」という考え方が被害の軽減に有効であることもわかりました。
耐震基準は、命を守れるよう建築基準法で定めている最低限の基準で、震度6~7の揺れでも倒壊しないことを求めています。
建物の耐震性は、地震による横向きの力に部材や構造が耐えられるかを計算します。国内では関東大震災(1923年)後の24年に初めて盛り込まれました。
木造住宅の場合は斜めの筋交いなどを入れた「耐力壁」で全体の変形を抑える原理で、50年にできた建築基準法の施工令で一定量の耐力壁を組み込む基準ができました。68年の十勝沖地震で亀裂が相次いだ鉄筋コンクリート柱の規定が71年に強化されるなど、大地震のたびに改正されてきました。
中でも大幅な強化が、都市部で被害が出た78年の宮城県沖地震後の81年。大地震で倒壊しないことが明確化され、木造住宅では耐力壁の量を従来(旧耐震基準)の約1.4倍としました。これ以降の基準を「新耐震」と呼びます。
95年の阪神大震災では壁の量は十分でも配置が偏った木造住宅に被害が出るなどし、2000年に「壁のバランスをよくする」などの規定が強化されて現行の基準(強化後新耐震)になりました。
こうした基準の違いが熊本地震での倒壊率の差に現れました。国土交通省の有識者委員会が2度の震度7の揺れに見舞われた熊本県益城町の木造建築物1955棟を調べた報告書によると、旧耐震の基準で建てたものは倒壊・崩壊が28%だったのに対し、強化前新耐震では2%でした(図参照)。
ただ、命は守れても住宅が壊れて住めなくなる恐れはあります。熊本地震では耐震基準に加えて被害を減らせる可能性のある「耐震等級」に注目が集まりました。国に登録された第三者機関が、新築時の耐震性を1~3の数字の大きさで評価する仕組みで、2000年10月に始まりました。強化後の新耐震基準にほぼ相当する耐震性を「等級1」と規定し、その1.25倍の性能の住宅を「等級2」、1.5倍を「等級3」とします。
等級1は数百年に1度発生する地震で倒壊しないとされる耐震性を指します。等級2は避難先となる学校など、等級3は消防署など災害対応拠点となる公共施設の耐震性に相当するともいわれます。
熊本地震の国土交通省有識者委員会の報告書によると、性能評価を受けていた木造住宅19棟のうち、耐震等級3の16棟では無被害が14棟、軽微・小破が2棟で、倒壊や大破はありませんでした。現行の耐震基準全体(319棟)の中でも被害の小ささが目立ちます。
工学院大学・都市減災研究センター長の久田嘉章教授は、「建築基準法の耐震基準は倒壊しない最低限のレベル。避難所や仮設住宅のスペースが不足する都市部では特に、地震後にも自宅に住み続けられる耐震性を得るために、より高い耐震等級を目安にすることが重要です」と話します。
久田教授は、地震も14年に都内に耐震等級3の住宅を建てました。「デザインによりますが等級を1から3に上げる建築コストは数%。それだけでも被害を大きく抑え、仕事など生活再建も早くできる住宅に近づきます」
耐震等級の課題は、住宅の新規着工に占める割合が約2割と、普及率が低いことです。耐震等級が上がれば地震保険料の割引があるなどの優遇策が設けられており、国交省の担当者は、「耐震の有効な手段として検討してもらえれば」と活用を呼びかけています。
旧耐震の木造住宅には多くの自治体で耐震診断や改修への補助があります。熊本地震で一部被害があった強化前新耐震では「部材の接合部に金具があるか」など住人が簡易に耐震性をチェックできる制度が5月に始まりました。9月1日の防災の日を前に再度、備えを見直したいものです。
(2017年8月26日 朝日新聞記事より)
首都マグニチュード7.3 甚大な被害想定
9月1日は「防災の日」。94年前に関東大震災が起きた日です。日本は、地震、津波、噴火、洪水、土砂災害など様々な自然の脅威にさらされています。6年前に起きた東日本大震災をはじめ、大きな災害が起こるたびに、被害の想定や情報の出し方が見直されてきました。どんなリスクや課題があるのか、読み解きます。
◆首都マグニチュード7.3 甚大な被害想定
関東大震災が起きたのは1923年9月1日午前11時58分。神奈川県から千葉県にまたがる震源域が動いたマグニチュード(M)7.9の巨大地震だった。死者・行方不明者は10万5千人を超えた。多くは火災に巻き込まれた人だった。
当時、台風の影響で強い風が吹いていた。各地で火が燃え広がり、東京や横浜の市街地計40平方キロメートル以上が焼失。東京・隅田川近くの空き地では、逃げ場を失った4万人近くが命を落とした。建物の倒壊でも1万人以上がなくなり、土砂崩れや津波の被害も相次いだ。
「首都直下地震」は、今後30年以内に70%の確率で起こると言われている。関東大震災が起きた94年以前に比べれば、現在の建物は強くなったものの、人やモノ、機能が集中し、高度に発達した首都が大地震に見舞われれば、被害は甚大で影響は全国に及ぶ。
死者2万3千人、経済被害95兆3千億円ーー。国の中央防災会議は2013年、首都直下地震の最大の被害をこう想定した。
南関東の1都3県の3割の地域が震度6弱以上の揺れに襲われる。交通まひで消火や救助は滞る。17万5千棟の建物が全壊し、7万2千人の救助が必要になる。焼失は41万2千棟にのぼり、1万6千人が火災で亡くなる。買い付けが起きて生活物資は全国で不足し、断水や停電で避難者は2週間後に720万人に膨らむ。輸出入も落ち込むなどして、日本の国際競争力が下がったままになる可能性もあるという。
もっとも、これは都心南部直下でM7.3の地震を仮定した一つのケースに過ぎない。関東地方は三つのプレート(岩板)が重なる複雑な場所で、どこで地震が起こるかはわからない。茨城県南部や千葉市直下、横浜市直下など、様々な震源から特に影響の大きいケースが選ばれた。
70%というのも、都心に限らず東京近辺のどこかでM7級の地震が起こる確率だ。過去には平均で27.5年に1回起きてきた。
「我々が生きているうちに起きることは過去の例からみて不思議なことではない。備えなければ被害が大きいことはわかっている」。21日にあった地震予知連絡会後の記者会見で、平田直・東京大学教授は備えの必要性を強調した。
東京都の住宅耐震化率は8割台で、火災に弱い木造住宅密集地域の対策も道半ばだ。中央防災会議は、耐震化率が100%になり、出火対策が進めば、死者は想定より9割減らせると見込む。国は24年度までに死者や全壊棟数の半減を目指している。
関東大震災を起こしたタイプのM8級地震なら被害はより大きくなるが、国が対策の主眼を置くのはM7級だ。M8級の30年以内の確率は「ほぼ0~5%」。過去の発生間隔は180~590年とされる。
長期的に街全体を強くする必要性も指摘されている。日本学術会議は23日、大都市については建物の耐震性を1.5倍程度まで上乗せする仕組みを導入すべきだとする提言を公表した。大都市への過度な集中の是正も合わせて求めた。
◆中小規模の地震にも備えを
大都市で多数が被災する状況では国や自治体などの「公助」には限界があり自らの備えが欠かせない。食料や水などの備蓄は最低3日、できれば1週間分が推奨されている。建物が無事で火事がなければ、自宅や職場にとどまることができる。家族との連絡方法を決めておき、むやみな移動は避けるなど、救援活動を妨げない心がけも大切だ。
東京・新宿地区の防災対策にかかわる工学院大の久田嘉章教授は、被害規模に応じた柔軟な対応の必要性を指摘する。「実際は中小規模の地震が起きる可能性の方がはるかに高い。東京が壊滅するならにげるしかないと、できる対策まであきらめるのはよくない」
被害は、どこが震源になるかや地盤条件、建物の強さにも左右される。無事であれば助ける側に回る仕組みをつくるなど、地域であらかじめできることはある。被害を最小限にとどめるためにも、家具の固定や建物の耐震化は大前提だ。
◆南海トラフ 観測強化へ調査 気象庁、モニタリング費要求
東海地震の想定震源域に限定していた観測体制について、気象庁は、東海地震を含む南海トラフの地域の全域の観測ができないか、調査を始める。
現在、静岡など3県27ヵ所に岩盤の変形を観測する「ひずみ計」が設置され、同庁は東海地震を予知する観測体制をとっている。一方、南海トラフの西側には観測網がなく、国の中央防災会議の作業部会も25日、東海地震の予知を前提とする防災対策を見直し、南海トラフ沿いの広い範囲で新たな防災計画を作ることを求める報告書案をまとめた。これを踏まえ、同庁は観測網の拡大を検討。現在、南海トラフ沿いでも観測を続ける他の研究機関などからデータの提供を受け、南海トラフ地震についても、東海地震と同程度の観測ができるかなどを調査する。
同庁は、モニタリング調査の費用など、来年度当初の予算の概算要求に約4200万円を盛り込んだ。
(2017年8月26日 朝日新聞記事より)
南海トラフ 現実的対策へ
南海トラフ 現実的対策へ
◉「予知前提を転換」
東海地震を含む南海トラフ地震について、国の中央防災会議の作業部会は25日、地震の予知を前提としない現実的な防災対策をとるよう国や地方自治体に求める報告書をまとめた。
「大規模地震対策特別措置法(大震法)」の仕組みが見直されるのは約40年ぶり。一部地域で地震が起き、さらに大きな地震が見込まれる場合など、4つの想定ケースを示し、高齢者の避難など可能な事前対策につなげる。
◉南海トラフ地震で防災対策のため作業部会が示した4ケース
❶震源域の半分で大地震が起き、「割れ残り」が生じた場合
❷大規模地震(M8~9)と比べて一回り小さい地震(M7クラス)が起きた場合
❸東日本大震災前に見られた地震活動に関する現象が多数観測された場合
❹東海地震の判定基準にあるような地殻変動が見られた場合
⇩
*過去の南海トラフ地震のケースは・・・
1707年 宝永地震 震源域全体でほぼ同時に発生か
❶1854年12月23日 安政東海地震 ⇒ 翌日 1854年12月24日 安政南海地震
❶1944年12月7日 昭和東南海地震(東側) ⇒ 2年後 1946年12月21日 昭和南海地震(西側)
◉過去の地震元に4想定 震源域の半分で大地震⇒3日避難
現在の大震法に基づく防災体制では、東海地震の前兆を捉えると首相が「警戒宣言」を出し、鉄道の運休や休校などの対策を取ることになっている。
実際には予知が難しいことを受け、報告書は「大震法に基づく現行の対策は改める必要がある」と明記。首相の警戒宣言の発令は事実上、棚上げされる見通しになった。制度の高い予知でなく、過去の地震の発生状況などを元にした想定で事前の対策をとる方針に転換する。
高齢者の避難など、事前対策につなげるため、報告書は新たに4つの想定ケースを例示。国に対して、自治体が一斉に対策を始められるよう、警戒宣言に代わる情報の提供も求めた。
4つのケースは、❶震源域の半分で大地震が発生 ❷震源域で想定より一回り小さい地震が発生 ❸東日本大震災前にみられた現象を多数観測 ❹東海地震の判定基準にあるような地殻変動がみられたー場合だ。
それぞれの特徴として、❶は過去にあり、1944年の昭和東南海地震から2年後、昭和南海地震が起きた。1854年にも安政東海地震の翌日に安政南海地震が発生した。❷は、その後さらに大きな地震が来るのではと、社会の不安が高まる可能性がある。❸、❹は観測経験や評価基準がなく市民の対応は難しいとしている。
報告書は住民の被害の受けやすさや、地震発生の可能性の高まりに応じた考え方や例も示した。
例えば❶では、震源域の東側で大地震が起きた場合、西側で津波の到達が早い沿岸部では3日間程度の避難を促す。避難に時間がかかるお年寄りや要介護者は、津波到達が30分程度の内陸地域でも1週間程度避難するよう求める。一般的に、大地震後に地震が続発する可能性が高まり、時間の経過とともに減少する。
ただ、空振りの場合は経済的損失が見込まれ、避難による健康リスクや「何日まで耐えられるか」などの課題があり、地域によって対策は異なる可能性がある。国は今後、モデル地域を指定して課題を洗い出した上で対応策をガイドラインとして示す。
◉「社会全体の理解必要」関係自治体
予知を前提とせず、新たな防災対策を求められる自治体の受け止めはーーー。東海地震の想定震源域が最も近い静岡県。制定以来、大震法と深く関わりながら対策を進めてきた。昨年度まで県が投じてきた地震対策の事業費は、総額2兆3191億円に上る。外岡達朗・県危機管理監は25日、国の作業部会後、「近年は確度の高い予測は難しいという前提で減震対策や防災訓練をしてきた。今回の見直しで、県の方針が大きく変わることはない」と話す。
ただ、南海トラフ地震でも発生から数分で沿岸部に大きな津波が到達すると予想される。「高齢者らの避難対策などはさらに充実させる必要が出てきた」。県民には住宅の耐震化や食糧備蓄などを呼びかける。一方、国には「避難のトリガーとなる警戒宣言に類する仕組みも必要」と注文をつけた。
東海地震の「強化地域」外だった高知県。地震観測の対象が南海トラフ全域に広げられることに、酒井浩一・県危機管理部長は「評価できる」と歓迎した。さらに作業部会が、自治体が防災計画作りを進められるよう、国にガイドラインの策定を求めたことについて「方向性を示したことは意義がある」と指摘しつつ、「地震の可能性を示す情報がもたらされれば身構えられる。予知できないとしても観測の手は緩めないでほしい」と話した。
名古屋市の防災危機管理局も、予知から現実的な対策に切り替わることを、「はっきりさせてくれてよかった」と評価する。一方、「情報がやみくもに出され、市民の活動をどこまで制限するか各自治体に判断がゆだねられれば、大混乱になる」と指摘し、「命に関わることなので、不確実な情報による避難もやむを得ない、という社会全体の理解を得る努力が必要ではないか」と話した。
◉地域の特徴踏まえた対策を
40年近く続いた「警戒宣言」の仕組みが大きく見直されることになった。確度の高い予知が難しいことは地震学者の共通認識になっている。ようやく、学問の実力に近づくことになる。
社会活動を大きく制限する警戒宣言の仕組みは、数日以内にほぼ確実に地震が起こる前提で成り立っていた。いつなのか、起こるのかもはっきりしない、不確実な予測しか出せないのなら、当然、対応は変わってくる。地震学者の間には、警戒宣言を定めた法律自体の廃止を求める声もある。一方で、防災対策を担う自治体からは「危機管理の観点からは、不確実な情報でも必要」との声が上がる。
今回の報告書は、地震の起きやすさや、災害への弱さに応じ、段階的な対応を取る方針を示した。台風時の災害弱者の避難や、火山の噴火警戒レベルなど、ほかの災害でも採り入れられてきた考え方だ。
ただ、地震の場合、社会の求めに見合う情報を出せるのかという課題は依然残る。態勢の解除後に地震が起こる可能性もあるうえ、避難に伴う健康リスクなどの弊害も無視できない。今後考える具体策は、予測のあいまいさや、地域の特徴などを踏まえ、丁寧につくりあげていくことが求められる。
地震は不意打ちでやってくる。今回の検討は、いつ起きてもいいように備えられたうえで、さらに被害を減らすための取り組みであることを肝に銘じたい。
(2017年8月26日 朝日新聞記事より)
長周期地震動(=長く大きな揺れ)対策について
今回は既存の超高層建築物等における、長周期地震動の対策についてです。
*超高層建築物・・・高さ60mを超える建築物
南海トラフ沿い(図表3)で、今後30年以内に起こるとされているM8-9クラスの巨大地震。
「長周期地震動」は、そのような震源が浅い巨大地震で発生し、「ゆっくりとした揺れが長く継続する」という特徴があります。(図表2)
H23年に起こった東北地方太平洋沖地震では、震源から約700km離れた大阪市内の超高層ビルで大きな揺れが起き、居住者に大きな恐怖感を与えると共に、家具や内装、エレベータなどの設備に大きな被害をもたらしました。(図表1)
*南海トラフ沿いではM8~9クラスの地震が約100~150年間隔で発生。
*今後30年以内に70%程度の確率で発生。
巨大地震によって長周期地震動が発生すると、地震動の揺れによる建物の速度は、三大都市圏の広い範囲で150cm/秒以下、一部地域で局所的に250cm/秒程度、と推計されます。これまでの実験結果(図表4)によれば、建物が倒壊するまでには一定の余裕があるのではないかと推察されますが、超高層建築物を含む多くの建物で間仕切り壁や天井材、スプリンクラーなどの非構造部材や設備機器に様々な被害が発生する可能性があります。
上層階ほど揺れが大きく、多くの固定していない家具類が転倒し、キャスター付きの家具類等が大きく移動することで、人的な被害が発生することが懸念されます。(図表5 平成27年12月 内閣府報告書)
*家具の転倒・移動等の対策については、「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(←クリックすると東京消防庁のホームページに移動します)が参考になります。(例:図表6)
また、災害時に防災拠点となることが期待される施設等においては、地震時の揺れを低減させる装置(ダンパー等)を設置するなど、自主的な取り組みが進められています。
下の図の対象エリア内(特に図中赤・青色の地域)の超高層建築物等については、今回の対策で求める長周期地震動の大きさが、建物の建設時に想定していた地震動の大きさを上回っている可能性があります。
詳細検証や回収等を行うにあたっては、販売者、施工者、または設計者にご相談を。
本対策の対象となる区分所有マンションについては、合意形成を円滑に進めるため、国土交通省において支援制度を準備しています。
詳しくは、地方公共団体(市区町村及び都道府県)の建築部局等にお尋ねください。
新耐震基準でも接合部の確認を!
2016年(平成28年)4月に発生した熊本地震で倒壊した建物を、
国土技術政策総合研究所などが調査を行いました。
その結果、柱や筋交い、土台などを繋ぐ部分などの問題が浮かび上がりました。
倒壊した建物は、筋交を釘だけで固定していたり、柱と土台を金属板と釘だけで
簡単に繋いでいる状況でした。
平成28年12月8日 朝日新聞掲載記事より
阪神大震災を受け、2000年(平成12年)建築基準法に接合部の金物の太さや
長さが追加されました。基礎や土台と柱を太いボルトで繋ぐ「ホールダウン金物」
などで耐震性が高められました。
平成28年12月8日 朝日新聞掲載記事より
倒壊した建物のうち、2000年(平成12年)以前の建物は接合部の強化基準を満た
しておらず、益城町中心の2000年以降の建物倒壊は約300棟中7棟にとどまりました。
そのうち4棟は、施工の不具合や地盤の緩み等の影響を受けたことが確認されましたが、
残り3棟は原因がはっきりしていません。
近年、とても多くなっているリフォーム工事ですが、
柱や土台・筋交等の接合部を確認する良い機会です。
キッチン周辺の接合部だけ、浴室周辺の接合部だけといった部分的な確認だけでは
家全体の判断は出来ませんが、ある程度予測する材料にはなります。
2000年(平成12年)以前の建物は勿論のことですが、
2000年以降の建物であってもリフォーム工事の際、接合部の確認をしてみてはいかがでしょうか?
地震保険付帯率60.2%(2015年度)
地震保険付帯率60.2%(2015年)
損害保険料率算出機構は、2015年度中に新規契約された火災保険のうち、地震保険を付帯した割合(付帯率)を公表しました。
全国平均60.2%(前年度比0.9%アップ) ※2003年以降、13年連続で増加
都道府県別では、宮城・福島・愛知・岐阜・徳島・高知・鹿児島・宮崎が70%超。
熊本地震後の5月単月の付帯率は、前月同月比4.9%増、南九州では2桁増となりました。
来年1月に改定
地震保険の保険料率は、全国平均で15.5%(現在)。
今後3段階で引上げ予定で、初回は来年2017年1月に5.1%引き上げられる予定です。
損害区分も見直し
現在、保険金支払い割合が、 全損(100%)・半壊(50%)・一部損(5%) の3区分
これを 全損(100%)・大半損(60%)・小半損(30%)・一部損(5%) の4区分になります。
耐震等級3は、割引制度がより利用しやすく
耐震等級3(▲50%)の割引を適用できる確認資料に「住宅性能証明書+設計内容説明書」の組み合わせが追加されます。
南海トラフ地震の被害想定
「壁直下率」と「柱直下率」
熊本地震の本震、最大加速度が阪神大震災の2倍
2016年(平成28年)4月14日夜に発生した熊本地震の本震は、
震度7を観測した熊本県益城町で最大加速度1,580ガル・最大速度92カインをそれぞれ記録した。
加速度は、1995年(平成7年)1月7日に発生した阪神淡路大震災の891ガルを大きく上回ったことが、
防災科学技術研究所の地震波解析でわかった。加速度と速度はともに地震の揺れの大きさを示す指標で、
両者がそろって大きいほど地震の破壊力が強いとされる。
加速度とは・・・速度の変化率で地震のインパクトの強さを知る手掛かりとなる。
速度とは・・・自動車などのスピードと同じ単位で、建物被害の程度と関係が深い。
今回の揺れは両者とも大きく、家屋の倒壊など被害拡大に繋がった可能性が高い。
阪神淡路大震災 891ガル・112カイン
新潟県中越地震 1,722ガル・148カイン 2004年(平成16年)10月23日発生
熊本地震 1,580ガル・ 92カイン
【地震の知識】:「マグニチュードと震度」の違い
本日、【地震の知識】のページに「マグニチュードと震度の違い」についてUPしました。
【地震の知識】【耐震の知識】のページについて 今後も随時追加UP予定です。
掲載内容について要望等ありましたらぜひご連絡下さい。よろしくお願いいたします。
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