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2017年8月

耐震基準と耐震等級

◆有効性、熊本地震で「立証」

大地震に耐え、震災後も住み続けられる住宅の条件はどのようなものでしょうか。

昨年4月の熊本地震では、新しい「耐震基準」で建てた住宅がより強いことがはっきりしました。さらに「耐震等級」という考え方が被害の軽減に有効であることもわかりました。

 

耐震基準は、命を守れるよう建築基準法で定めている最低限の基準で、震度6~7の揺れでも倒壊しないことを求めています。

建物の耐震性は、地震による横向きの力に部材や構造が耐えられるかを計算します。国内では関東大震災(1923年)後の24年に初めて盛り込まれました。

木造住宅の場合は斜めの筋交いなどを入れた「耐力壁」で全体の変形を抑える原理で、50年にできた建築基準法の施工令で一定量の耐力壁を組み込む基準ができました。68年の十勝沖地震で亀裂が相次いだ鉄筋コンクリート柱の規定が71年に強化されるなど、大地震のたびに改正されてきました。

中でも大幅な強化が、都市部で被害が出た78年の宮城県沖地震後の81年。大地震で倒壊しないことが明確化され、木造住宅では耐力壁の量を従来(旧耐震基準)の約1.4倍としました。これ以降の基準を「新耐震」と呼びます。

95年の阪神大震災では壁の量は十分でも配置が偏った木造住宅に被害が出るなどし、2000年に「壁のバランスをよくする」などの規定が強化されて現行の基準(強化後新耐震)になりました。

こうした基準の違いが熊本地震での倒壊率の差に現れました。国土交通省の有識者委員会が2度の震度7の揺れに見舞われた熊本県益城町の木造建築物1955棟を調べた報告書によると、旧耐震の基準で建てたものは倒壊・崩壊が28%だったのに対し、強化前新耐震では2%でした(図参照)。

耐震基準と耐震等級.png

ただ、命は守れても住宅が壊れて住めなくなる恐れはあります。熊本地震では耐震基準に加えて被害を減らせる可能性のある「耐震等級」に注目が集まりました。国に登録された第三者機関が、新築時の耐震性を1~3の数字の大きさで評価する仕組みで、2000年10月に始まりました。強化後の新耐震基準にほぼ相当する耐震性を「等級1」と規定し、その1.25倍の性能の住宅を「等級2」、1.5倍を「等級3」とします。

等級1は数百年に1度発生する地震で倒壊しないとされる耐震性を指します。等級2は避難先となる学校など、等級3は消防署など災害対応拠点となる公共施設の耐震性に相当するともいわれます。

 

熊本地震の国土交通省有識者委員会の報告書によると、性能評価を受けていた木造住宅19棟のうち、耐震等級3の16棟では無被害が14棟、軽微・小破が2棟で、倒壊や大破はありませんでした。現行の耐震基準全体(319棟)の中でも被害の小ささが目立ちます。

工学院大学・都市減災研究センター長の久田嘉章教授は、「建築基準法の耐震基準は倒壊しない最低限のレベル。避難所や仮設住宅のスペースが不足する都市部では特に、地震後にも自宅に住み続けられる耐震性を得るために、より高い耐震等級を目安にすることが重要です」と話します。

久田教授は、地震も14年に都内に耐震等級3の住宅を建てました。「デザインによりますが等級を1から3に上げる建築コストは数%。それだけでも被害を大きく抑え、仕事など生活再建も早くできる住宅に近づきます」

耐震等級の課題は、住宅の新規着工に占める割合が約2割と、普及率が低いことです。耐震等級が上がれば地震保険料の割引があるなどの優遇策が設けられており、国交省の担当者は、「耐震の有効な手段として検討してもらえれば」と活用を呼びかけています。

 旧耐震の木造住宅には多くの自治体で耐震診断や改修への補助があります。熊本地震で一部被害があった強化前新耐震では「部材の接合部に金具があるか」など住人が簡易に耐震性をチェックできる制度が5月に始まりました。9月1日の防災の日を前に再度、備えを見直したいものです。

(2017年8月26日 朝日新聞記事より)

 

 

首都マグニチュード7.3 甚大な被害想定

9月1日は「防災の日」。94年前に関東大震災が起きた日です。日本は、地震、津波、噴火、洪水、土砂災害など様々な自然の脅威にさらされています。6年前に起きた東日本大震災をはじめ、大きな災害が起こるたびに、被害の想定や情報の出し方が見直されてきました。どんなリスクや課題があるのか、読み解きます。

◆首都マグニチュード7.3 甚大な被害想定

関東大震災が起きたのは1923年9月1日午前11時58分。神奈川県から千葉県にまたがる震源域が動いたマグニチュード(M)7.9の巨大地震だった。死者・行方不明者は10万5千人を超えた。多くは火災に巻き込まれた人だった。

当時、台風の影響で強い風が吹いていた。各地で火が燃え広がり、東京や横浜の市街地計40平方キロメートル以上が焼失。東京・隅田川近くの空き地では、逃げ場を失った4万人近くが命を落とした。建物の倒壊でも1万人以上がなくなり、土砂崩れや津波の被害も相次いだ。

「首都直下地震」は、今後30年以内に70%の確率で起こると言われている。関東大震災が起きた94年以前に比べれば、現在の建物は強くなったものの、人やモノ、機能が集中し、高度に発達した首都が大地震に見舞われれば、被害は甚大で影響は全国に及ぶ。

死者2万3千人、経済被害95兆3千億円ーー。国の中央防災会議は2013年、首都直下地震の最大の被害をこう想定した。

首都直下地震の被害想定.png南関東の1都3県の3割の地域が震度6弱以上の揺れに襲われる。交通まひで消火や救助は滞る。17万5千棟の建物が全壊し、7万2千人の救助が必要になる。焼失は41万2千棟にのぼり、1万6千人が火災で亡くなる。買い付けが起きて生活物資は全国で不足し、断水や停電で避難者は2週間後に720万人に膨らむ。輸出入も落ち込むなどして、日本の国際競争力が下がったままになる可能性もあるという。

もっとも、これは都心南部直下でM7.3の地震を仮定した一つのケースに過ぎない。関東地方は三つのプレート(岩板)が重なる複雑な場所で、どこで地震が起こるかはわからない。茨城県南部や千葉市直下、横浜市直下など、様々な震源から特に影響の大きいケースが選ばれた。

70%というのも、都心に限らず東京近辺のどこかでM7級の地震が起こる確率だ。過去には平均で27.5年に1回起きてきた。

「我々が生きているうちに起きることは過去の例からみて不思議なことではない。備えなければ被害が大きいことはわかっている」。21日にあった地震予知連絡会後の記者会見で、平田直・東京大学教授は備えの必要性を強調した。

東京都の住宅耐震化率は8割台で、火災に弱い木造住宅密集地域の対策も道半ばだ。中央防災会議は、耐震化率が100%になり、出火対策が進めば、死者は想定より9割減らせると見込む。国は24年度までに死者や全壊棟数の半減を目指している。

関東大震災を起こしたタイプのM8級地震なら被害はより大きくなるが、国が対策の主眼を置くのはM7級だ。M8級の30年以内の確率は「ほぼ0~5%」。過去の発生間隔は180~590年とされる。

長期的に街全体を強くする必要性も指摘されている。日本学術会議は23日、大都市については建物の耐震性を1.5倍程度まで上乗せする仕組みを導入すべきだとする提言を公表した。大都市への過度な集中の是正も合わせて求めた。

◆中小規模の地震にも備えを

大都市で多数が被災する状況では国や自治体などの「公助」には限界があり自らの備えが欠かせない。食料や水などの備蓄は最低3日、できれば1週間分が推奨されている。建物が無事で火事がなければ、自宅や職場にとどまることができる。家族との連絡方法を決めておき、むやみな移動は避けるなど、救援活動を妨げない心がけも大切だ。

東京・新宿地区の防災対策にかかわる工学院大の久田嘉章教授は、被害規模に応じた柔軟な対応の必要性を指摘する。「実際は中小規模の地震が起きる可能性の方がはるかに高い。東京が壊滅するならにげるしかないと、できる対策まであきらめるのはよくない」

被害は、どこが震源になるかや地盤条件、建物の強さにも左右される。無事であれば助ける側に回る仕組みをつくるなど、地域であらかじめできることはある。被害を最小限にとどめるためにも、家具の固定や建物の耐震化は大前提だ。

◆南海トラフ 観測強化へ調査 気象庁、モニタリング費要求

東海地震の想定震源域に限定していた観測体制について、気象庁は、東海地震を含む南海トラフの地域の全域の観測ができないか、調査を始める。

現在、静岡など3県27ヵ所に岩盤の変形を観測する「ひずみ計」が設置され、同庁は東海地震を予知する観測体制をとっている。一方、南海トラフの西側には観測網がなく、国の中央防災会議の作業部会も25日、東海地震の予知を前提とする防災対策を見直し、南海トラフ沿いの広い範囲で新たな防災計画を作ることを求める報告書案をまとめた。これを踏まえ、同庁は観測網の拡大を検討。現在、南海トラフ沿いでも観測を続ける他の研究機関などからデータの提供を受け、南海トラフ地震についても、東海地震と同程度の観測ができるかなどを調査する。

同庁は、モニタリング調査の費用など、来年度当初の予算の概算要求に約4200万円を盛り込んだ。

(2017年8月26日 朝日新聞記事より)

南海トラフ 現実的対策へ

南海トラフ 現実的対策へ

◉「予知前提を転換」

東海地震を含む南海トラフ地震について、国の中央防災会議の作業部会は25日、地震の予知を前提としない現実的な防災対策をとるよう国や地方自治体に求める報告書をまとめた。

「大規模地震対策特別措置法(大震法)」の仕組みが見直されるのは約40年ぶり。一部地域で地震が起き、さらに大きな地震が見込まれる場合など、4つの想定ケースを示し、高齢者の避難など可能な事前対策につなげる。

 

◉南海トラフ地震で防災対策のため作業部会が示した4ケース

震源域の半分で大地震が起き、「割れ残り」が生じた場合

大規模地震(M8~9)と比べて一回り小さい地震(M7クラス)が起きた場合

東日本大震災前に見られた地震活動に関する現象が多数観測された場合

東海地震の判定基準にあるような地殻変動が見られた場合

         ⇩

*過去の南海トラフ地震のケースは・・・

 1707年 宝永地震 震源域全体でほぼ同時に発生か

1854年12月23日 安政東海地震 ⇒ 翌日 1854年12月24日 安政南海地震

1944年12月7日  昭和東南海地震(東側) ⇒ 2年後 1946年12月21日 昭和南海地震(西側)

南海トラフ地震.png

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◉過去の地震元に4想定 震源域の半分で大地震⇒3日避難

現在の大震法に基づく防災体制では、東海地震の前兆を捉えると首相が「警戒宣言」を出し、鉄道の運休や休校などの対策を取ることになっている。

実際には予知が難しいことを受け、報告書は「大震法に基づく現行の対策は改める必要がある」と明記。首相の警戒宣言の発令は事実上、棚上げされる見通しになった。制度の高い予知でなく、過去の地震の発生状況などを元にした想定で事前の対策をとる方針に転換する。

高齢者の避難など、事前対策につなげるため、報告書は新たに4つの想定ケースを例示。国に対して、自治体が一斉に対策を始められるよう、警戒宣言に代わる情報の提供も求めた。

4つのケースは、震源域の半分で大地震が発生 震源域で想定より一回り小さい地震が発生 東日本大震災前にみられた現象を多数観測 東海地震の判定基準にあるような地殻変動がみられたー場合だ。

それぞれの特徴として、は過去にあり、1944年の昭和東南海地震から2年後、昭和南海地震が起きた。1854年にも安政東海地震の翌日に安政南海地震が発生した。は、その後さらに大きな地震が来るのではと、社会の不安が高まる可能性がある。は観測経験や評価基準がなく市民の対応は難しいとしている。

報告書は住民の被害の受けやすさや、地震発生の可能性の高まりに応じた考え方や例も示した。

例えばでは、震源域の東側で大地震が起きた場合、西側で津波の到達が早い沿岸部では3日間程度の避難を促す。避難に時間がかかるお年寄りや要介護者は、津波到達が30分程度の内陸地域でも1週間程度避難するよう求める。一般的に、大地震後に地震が続発する可能性が高まり、時間の経過とともに減少する。

ただ、空振りの場合は経済的損失が見込まれ、避難による健康リスクや「何日まで耐えられるか」などの課題があり、地域によって対策は異なる可能性がある。国は今後、モデル地域を指定して課題を洗い出した上で対応策をガイドラインとして示す。

◉「社会全体の理解必要」関係自治体

予知を前提とせず、新たな防災対策を求められる自治体の受け止めはーーー。東海地震の想定震源域が最も近い静岡県。制定以来、大震法と深く関わりながら対策を進めてきた。昨年度まで県が投じてきた地震対策の事業費は、総額2兆3191億円に上る。外岡達朗・県危機管理監は25日、国の作業部会後、「近年は確度の高い予測は難しいという前提で減震対策や防災訓練をしてきた。今回の見直しで、県の方針が大きく変わることはない」と話す。

ただ、南海トラフ地震でも発生から数分で沿岸部に大きな津波が到達すると予想される。「高齢者らの避難対策などはさらに充実させる必要が出てきた」。県民には住宅の耐震化や食糧備蓄などを呼びかける。一方、国には「避難のトリガーとなる警戒宣言に類する仕組みも必要」と注文をつけた。

東海地震の「強化地域」外だった高知県。地震観測の対象が南海トラフ全域に広げられることに、酒井浩一・県危機管理部長は「評価できる」と歓迎した。さらに作業部会が、自治体が防災計画作りを進められるよう、国にガイドラインの策定を求めたことについて「方向性を示したことは意義がある」と指摘しつつ、「地震の可能性を示す情報がもたらされれば身構えられる。予知できないとしても観測の手は緩めないでほしい」と話した。

名古屋市の防災危機管理局も、予知から現実的な対策に切り替わることを、「はっきりさせてくれてよかった」と評価する。一方、「情報がやみくもに出され、市民の活動をどこまで制限するか各自治体に判断がゆだねられれば、大混乱になる」と指摘し、「命に関わることなので、不確実な情報による避難もやむを得ない、という社会全体の理解を得る努力が必要ではないか」と話した。

◉地域の特徴踏まえた対策を

40年近く続いた「警戒宣言」の仕組みが大きく見直されることになった。確度の高い予知が難しいことは地震学者の共通認識になっている。ようやく、学問の実力に近づくことになる。

社会活動を大きく制限する警戒宣言の仕組みは、数日以内にほぼ確実に地震が起こる前提で成り立っていた。いつなのか、起こるのかもはっきりしない、不確実な予測しか出せないのなら、当然、対応は変わってくる。地震学者の間には、警戒宣言を定めた法律自体の廃止を求める声もある。一方で、防災対策を担う自治体からは「危機管理の観点からは、不確実な情報でも必要」との声が上がる。

今回の報告書は、地震の起きやすさや、災害への弱さに応じ、段階的な対応を取る方針を示した。台風時の災害弱者の避難や、火山の噴火警戒レベルなど、ほかの災害でも採り入れられてきた考え方だ。

ただ、地震の場合、社会の求めに見合う情報を出せるのかという課題は依然残る。態勢の解除後に地震が起こる可能性もあるうえ、避難に伴う健康リスクなどの弊害も無視できない。今後考える具体策は、予測のあいまいさや、地域の特徴などを踏まえ、丁寧につくりあげていくことが求められる。

地震は不意打ちでやってくる。今回の検討は、いつ起きてもいいように備えられたうえで、さらに被害を減らすための取り組みであることを肝に銘じたい。

(2017年8月26日 朝日新聞記事より)

 

 

 

 

H29長期優良住宅化リフォーム推進事業の業者登録をしました。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、「耐久性があり、地震に強く、省エネ性が高く、維持管理がしやすい」住宅にリフォームする場合、その工事費等の一部に対し国が補助するものです。当社も今年度の事業者登録を行いました。

概要は以下の通りです。

全体概要 平成29年度の長期優良住宅化リフォーム推進事業
もらえる人 長期優良リフォームの発注者、長期優良リフォーム済み住宅の購入者
(補助金受領者は業者さんですが、最終的には上記の家主に還元されることになっています。)
もらえる額 1住戸あたり最大250万円+50万円(※)
(※)三世代同居対応改修工事を実施する場合に50万円を上限に加算
主な要件
  • リフォームによって「劣化対策、耐震性能、省エネ性能、維持管理性能」など、長期使用のための性能について一定の要件を満たす
  • リフォーム前にインスペクションを実施する

など

 

ご希望のお客様は是非お問い合わせください!

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